こんにちは、アインズグループ代表の上原です。
前回の記事では、アインズグループが大切にしている4S+1Sの行動理念と、人を育てられるリーダーをどう育てるか、ということについてお話ししました。
今回は、そこからもう一歩踏み込んだ、アインズグループの人材教育の本質について話をしたいと思います。

組織運営において、一番難しく、そして一番奥が深いのは「人材教育」だと思っています。 そして、現場で起こる問題の多くは、仕組みそのものの不備ではなく、「関係性」から生まれていたりします。どれだけ立派なマニュアルや給料(仕組み)を用意しても、働く人間が「自分は大切にされていない」「ここに居場所がない」と感じていたら、組織は絶対に崩れます。仕組みを動かす土台となる「人と人との心のつながり」を良い形に整える上で、一番重要だと感じているのが、「聴く力」です。特にこれは、男性スタッフにとって、今後この業界で生き残るための必須条件です。

なぜ、人材教育において「聴く力」がそれほどまでに重要なのか。今回はその理由についてお話ししようと思います。

「聴く力」が現場を強くする—アインズグループのスタッフが信頼される理由と人材教育

問題のほとんどは「仕組み」ではなく「関係性」から生まれる

組織を動かしていると、一見「仕組みの問題」に見えて、実は働くメンバーとの「関係性(心のつながり)の問題だった」ということが何度も起こります。マネージャーが急に「辞めたい」と言い出したり、伝え方ひとつで現場の空気ががらっと変わったり。配置をいくら変えても、また別の人間関係の課題が出てくる。

もちろん、仕組みを整えることは大前提として大事です。でも、どれだけ綺麗な仕組みを作っても、それを動かすのは生身の人間です。 その土台にある「人と人との心のつながり」が冷え切ったままであれば、どんなに優れた仕組みも機能せず、同じ問題が形を変えて何度も目の前に戻ってくるだけだと痛感しています。

だからこそ、俺は今でも幹部や店長、時には現場スタッフと直接話す機会を意識的につくってきました。
その時に徹底しているのは、先に自分の中で答えを持って話しに行くのではなく、「今どういう状態にあるか」「何に詰まっているか」「何を伝えたいのか」を、まず徹底的に聴くこと。

対話の量と質を上げて、「関係性」を丁寧に積み上げることが、一見遠回りに見えて、実は一番早く問題の根っこにたどり着く方法です。

正論より先に、相手の状態を見る

……と、偉そうに語っていますが、昔の自分はこれが本当にできていませんでした。

人間、現場で経験を積んでくると、どうしても「自分の中にすでに答えがある状態」で相手の話を聴きにいってしまいがちです。 「こうすれば解決できる」「それは間違っている」という正論を、自分の知識と経験を元に相手が話し終わる前に、さえぎって答えを出したくなってしまう。

これは特に、店長や幹部などの男性スタッフが最も陥りやすい失敗のパターンだと思っています。

プライドや「正しい答え」を前に出しすぎると、キャストや部下の本音や、リアルな今の状態が全く見えなくなります。 それが積み重なると、現場には「誰に何を聞けばいいか分からない」「本音を言っても意味がない」という冷え切った空気が生まれてしまいます。

面接ではあんなに楽しそうに話せていたのに、いざ入店後に関係が途切れてしまう。小さな確認すら誰に聞けばいいか分からず、一人で不安を抱えてしまうキャストが出てくる。

外から見れば「本人のメンタルの問題」に見えるかもしれません。でもそれは違う。話せる「関係性(構造)」が現場に用意されていないだけです。

アインズグループのスタッフが現場で圧倒的に信頼される理由は、数字を追えることだけではありません。キャストの状態を敏感に察知して、話を聴き、「この人には本音を話していいんだ」と感じてもらえる関係をつくれているか。 その地道な聴く力の積み重ねが、現場の安心感をつくり、定着をつくり、結果として強いお店をつくっていきます。

「承認」が価値になる時代

働きやすい環境を作るために、給料や福利厚生などの条件を整えることは、当然大前提です。 ただ、それだけの物質的な価値だけで人が動く時代は、もう終わっていると感じています。

今の時代は、物質的な価値だけじゃなく「承認」が何よりの価値になる時代です。

「自分の話をちゃんと聴いてもらえている」「自分のことを見て、理解してくれようとしている」という感覚が、キャストにとってもスタッフにとっても、働く上で大きな意味を持つようになっています。

この仕事は少し特殊で、来てくださるお客様だけでなく、一緒に働くキャストも含めて、どちらにも100%誠実に向き合う必要があります。だからこそ、スタッフがキャストを一人の人間としてリスペクトし、良い関係性を築けるかどうかが、そのまま現場の質(売上)に直結します。

一方で、「話を聴く」ことと「相手の感情に同化してしまうこと」は全く違います。

寄り添うことは大事ですが、相手の感情と一緒に揺れすぎると、支える側のリーダーまでブレて組織が倒れてしまう。 自分の軸を持ちながら、相手の状態をありのまま受け止める。それこそが、自分の考える本当の「聴く力」です。

人それぞれの違う価値観にしっかり向き合える人間が、最後に信頼を集める。この業界も、例外じゃないと思っています。

対話の質が組織をつくる

現場スタッフには、聴く技術ではなく、聴く姿勢を大切にするように伝えています。これは、相手のミスを指摘する場面でも全く変わりません。

何かができなかった時、
「何でこんな事も出来ひんねん」ではなく、
「○○が出来ひんはずないやろ、何かあった?」という聞き方をする。
出来なかった事象だけを見て責めるのではなく、「普段の君ならちゃんと出来るはずだ」という信頼を大前提にして問いかけます。

ミスはまず受け入れた上で、どこに向かうかを一緒に確認する。それだけで、人は主体的に動き出すようになります。

幹部でも、店長でも、現場スタッフでも、「ここには、自分の話をちゃんと聴いてもらえる場がある」という確信が、関係性を変えます。その場をつくり出せるスタッフが一人いるかどうかで、キャストの安心感も定着も、現場の空気もまるで違ってきます。
対話の量を増やすことと、一回一回の質を上げること。どちらか一方では足りない。その両方を地道に積み上げることが、アインズグループの現場の強さになっていると、確信しています。

最後に

ここまでお話ししたように、「聴く力」とは、優しさや雑談の上手さではありません。
人の状態を見て、信頼をつくり、現場を安定させ、組織を強くするための実践的な力です。

これからの風俗業界では、給料や条件を整えるだけでなく、「承認・信頼・対話」をつくれるスタッフがいるかどうかが、現場の差になっていくと思います。人と本気で向き合い、良好な関係性をつくることは、遠回りに見えて一番の近道です。
その確信を持って、アインズグループはこれからも誰よりも泥臭く現場を創り続けていきます。

アインズグループ代表 上原