こんにちは、アインズグループ代表の上原です。
前回の記事では、自分の人生の転換点となった「ブレンダ難波店での挫折」と、そこから這い上がる中でたどり着いた「原因は常に自分にある」という自責の思想についてお話ししました。多くの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。
今回は、その「自責の思想」を組織の仕組みにまで落とし込んだ、アインズグループの心臓とも言える行動理念『4S+1』についてお話ししようと思う。
アインズグループには、創業期から大切にしてきた「4つのS」という行動理念があります。
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サービス(Service)
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満足(Satisfaction)
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笑顔(Smile)
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驚き(Surprise)
この4つは、サービス業として、エンターテインメントを届ける組織として、絶対に欠かせないグループの根っこです。でも、今のアインズグループを「毎年増収増益」「全国30店舗以上」にまで押し上げたのは、この4つのSだけではありません。
+Something(付加価値・自分にしかできない提案をする)
これこそが、経営していく中でが付け加えた、「自分で何かを生み出す」というもうひとつのS。
なぜ、自分がこの5つ目のSにそこまでこだわるのか。そして、どうやって“自分で価値を生み出す人材”が育つ組織をつくってきたのか。その理由をお話ししようと思います。
4つのSは「義務」じゃなく「在り方」
まず、ベースにある「サービス・満足・笑顔・驚き」という4つの言葉を聞いたとき、どういうイメージを持つだろうか。 もしかしたら、どこにでもある「接客マニュアルのようなもの」と感じる人もいるかもしれません。
でも自分は、少し違う捉え方をしています。 この4つはマニュアルに書かれた「手順(やるべき行動)」ではなく、その先にある「状態(お客様の反応)」のことです。お客様が満足しているか、笑顔になっているか、驚いてもらえているか。それはマニュアルを守れば自動的に生まれるものではなく、目の前の人に向き合った結果として出てくるものだと思っています。
だからこそ、理念をただ壁に貼っておくだけではなく、現場で「考えるための基準」にしたかった。
「今日の自分の働きは、この4つのSに照らしてどうだったか」
それを自分で問い続けられる人間に育てたい。それが、アインズのスタンスです。
しかし、かつての自分は、この大切な本質を全く分かっていませんでした。
なぜ「自分で何かを生み出す」を加えたのか
4つのSを大切にしながらも、どこかで「これだけでは組織として足りない」という強い危機感がありました。
サービスも笑顔も驚きも、もちろん大事。でも、その基本をクリアした先に何があるかと言えば、やはり「自分で考えて、価値を生み出せるか」だと思う。人に言われたことだけをやる。マニュアル通りに動く。それだけなら、誰にでもできます。
自分がこれまで見てきた中で、現場で圧倒的に信頼され、店やチームを前に進めてきたスタッフは、共通して「自分で何かを起こした」経験を持っている人ばかりでした。
ただ、新しい何かを生み出す経験には、必ず「変化」と「恐怖」がセットでついてくる。知識だけを頭に入れている人間は、その恐怖の前に足が止まってしまう。 でも、その怖さを乗り越えて行動に移せた人間だけが、次の新しい景色を見ることができます。それが、たとえ失敗であっても成功であっても、動いた結果のすべてがその人の貴重な「経験値」になります。
だからこそ、アインズではその「一歩を越えた経験」を受け入れられる上司をつくりたい。
実は、最後の1S(+Something)には、スタッフへの期待だけでなく、「あなたは、部下が何かを生み出そうとするとき、ちゃんと受け止めているか?」という、育てる側(上司)への問いも込められています。
「任せる」と「放置」の違い。自立は、構造から生まれる。
現場でプレイヤーとして結果を出してきたからこそ、当時のままの感覚でマネジメントのポジションに就いてしまう人間が多い。これは、自分自身も31、32歳の頃に実体験し、大きく失敗してきたからこそよく分かります。
プレイヤーとしては自信があった俺が、いざマネジメントで挫折した時に気づいたのは、「任せること」と「放置すること」は全く別物だということです。
「任せる」というのは、目指すべきゴール(目的)を見せた上で、プロセスは本人に委ねて動いてもらうこと。 会社が「どこに向かうか」という景色さえ事前に共有できていたら、人は信頼を感じて、自分の意思で勝手に動き出します。逆に、そこに信頼やゴールの共有がなければ、どんなに仕事を渡したところで、それはただの「放置」にしかなりません。
アインズでは、「人を育てた先に店が伸びて、店が伸びたらグループも育つ」という成長のストーリーを何よりも大事にしています。
目先の数字を追うだけでなく、その先の大きな流れを描ける人間こそが、ただの優秀なプレイヤーを脱却し、人を育てられる真のリーダーになっていく。自分自身がプレイヤーとして優秀なだけでは、組織を動かすリーダーとしては通用しない時代になってきています。
受け身の組織を変えるのは、仕組みよりも「目的の共有」
アインズでは、昇格も降格も含めて、役割を見直す機会が頻繁にあります。 明確な役割定義があり、そのポジションに求められる数値を達成しているかどうか。 「今、何が求められているか」「このポジションは、本当にその人でいいのか」 そんな問いを常に持ちながら組織を動かしています。
ただ、それは評価を厳しくしたいわけではありません。むしろ逆です。前向きな挑戦から生まれたミスは絶対に叱らない。失敗も弱さも、一度受け入れる。 その上で、上司が答えを押し付けるのではなく、相手が自分で気づくのをじっと待つ。叱って従わせるより、信じて任せる。 俺は、そういう関わり方ができるリーダーを、アインズの中にもっと増やしていきたいと思っています。
最近、現場のスタッフやキャストたちも「事業主」のような高い視座の感覚で動いている人が確実に増えてきました。
出勤以外の時間も自分で工夫して、考えて、発信している。そうやって主体的に動く人間は、圧倒的なスピードで成長し、結果として大きく稼いでいきます。受け身で待っているだけでは勝てない時代になってきていると、現場を見ていて強く感じています。
それは、会社側が常に「その先にある景色(目的)」を見せてきたからだとも思っています。 会社がどこに向かうのか。何のためにこれをやっているのか。その「目的の共有」をやめた瞬間に、どんな仕組みも機能しなくなります。
最後に
4つのSは、アインズグループがこれまで大切に育んできた考え方です。でも、それだけでは組織をさらに前に進めることはできない。だからこそ、「自分で何かを生み出す」という最後の1Sを加えました。
自分で考え、動き、新しい価値を生み出す。その挑戦の経験こそがスタッフ一人ひとりの人生の成長になり、組織の圧倒的な強さになっていくと信じています。
アインズグループはこれからも、受け身ではなく、自分の役割を自ら考えて動ける強い人間が育つ場所を作り続けます。
アインズグループ代表 上原